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2011年 04月 07日

廃業する店を人情と長屋の知恵で救い再生する。経堂のダメ人間ネットワークの新しい coworkingのかたち。

かねてからの不況に追い打ちをかけるような
今回の震災、特に原発問題に起因する二次災害は、
東京のビジネスにも多大なダメージを与えています。
都心で閉めてしまう店や美容室が相次いでいるとか。

今回の文章は、ひょっとしたら、
こんな時代のヒントになるかもしれません。

経堂の北口から徒歩3分、
さばのゆの三軒となりに落語の床屋政談にでてくるような
下町(葛飾区・亀有)出身の美容師さんが一人でやってる
いい感じの美容室がありました。
13年前、1998年にオープンした小河原国治(おがわら・くにはる)さんのお店、
ハイトアシュベリー。
経堂系ドットコムにも紹介しました

あたたかい語り口と気づかいが魅力で、
地元のお年寄りから若者まで、幅広い顧客をつかんで、
経堂の街に溶け込んでやっていました。

当時こんな店でした。
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特に70代、80代のおばあさんにとって、
小河原さんの存在は大きかったと思います。
腰の曲がったおばあさん、歩くのに時間のかかるおばあさん、
洒落た美容室に行くのはちょっとという年配の方には、
行くと、まるで自分の家のように出迎えてくれて、
髪が薄くても、お年寄り特有のいろんな問題があっても、
気後れしないようにやさしい言葉づかいで和ませて
「いい感じにしてくれる」のが小河原さんでした。

腰の曲がったオバアさんがえっちらおっちら入っていける美容室。

ちなみにぼくも13年間ほぼ小河原さんに髪を切ってもらっていました。
本当に面白い人で、特に政治や世の中のことについての辛口トークは絶品。
お金を払い終えてから、次のお客さんが来ないときは、
レジの前で1時間、2時間ずっと話し続けたことも何度もあります。

そんなハイトアシュベリーでしたが、
2000年代の前半に農大通りを中心に大きな資本のチェーン系の
美容室がたくさんできたことや、長引く不況、
特にリーマンショックの後は、どんどん売り上げが落ちたらしく、
ひょっとしたら辞めるかもしれないという話を繰り返し聞いていました。

よく考えると、小河原さんの美容室経営は昔ながら。
人柄と腕で地道に顧客をつかむ方法。
チラシもショップカードも作ったことがなければ、携帯電話さえ持ってない。
昭和から抜け出てきたような人でした。

しかし、周辺にどんどんオープンする大手系を中心とした新しい美容室は、
割引クーポン付きのチラシを若いスタッフを使って撒き、
一度来店したお客さんには定期的にメルマガを送りキャンペーンの告知をする、
店の雰囲気もなんとなく華やか、なかなか一人で太刀打ちするのは難しいと
周囲には見えました。

それでも小河原さんが続けたのは、
「美容師しかできないし」ということと「子供3人を育てあげなきゃ」ということ。
それがこの2年のうちに、
娘さんが体育会系の大手企業営業マンと結婚して元気なお孫さんを産み、
息子さんたちも成長して巣立ち、ようやく肩の荷が降りた。
それで、ほっとしたのと、
昨年末の業績の悪化で、とうとう閉めることになったのでした。

もちろん「閉める」という小河原さんの表情にも言葉にも
一抹の寂しさは隠せない。
それを知った街の人間もその気持ちは同じ。

なにかいい方法はないのか!?と思いながらも時が過ぎていきました。

そんな時、救世主が現れました。

千歳船橋駅にも近い、
経堂4丁目に美容室COZY hair(コージーヘアー)を経営する清水さん。
経堂西通りの肉酒場(肉料理がガツンと美味い)
EL SOLさんの常連だった清水さんは、鹿児島出身だけあって酒が好き。
店ではよく「ダメ人間」呼ばわりされることも多い人ですが、
よく考えると、それだけ「自分をさらけだせる」人でもあったりします。
義侠心に富んだ人情家。酔うと強く濃くなる鹿児島弁。
語り始めると同じカウンターの若者に「ウザイ」と言われることもある。
そんな薩摩隼人の清水さんでした。
たまたま清水さんが飲んでいる時に経堂の良心的な不動産屋として有名な
大坪不動産の水木さんがいて、小河原さんのことを聞いたのでした。
実は、小河原さんを10年以上も知る水木さんも
ハイトアシュベリーがこのまま閉店して小河原さんが経堂からいなくなるのは、
非常につらいことだと思っていました。
それで飲みながら出た言葉は、
「今度、駅前の美容室が空くんだけど、
 なんとか今やってる人も残って欲しいんだよね」という言葉。

酔っぱらった清水さんは、思いました。
「オレがやらんで誰がやる!」と。

酒というものは誠に恐ろしい。

そこまでは酒場の飲んだ上での話でしたが、
まさかそれを実行に移すとは、その場の誰もが思わなかったのでした。

しかし、清水さんが翌日から考えたビジネスの読みと、
実行したソリューションは次のようなものでした。

①ハイトアシュベリーの立地は駅前である。
     ↓
②4月には経堂の駅ビル「コルティー経堂」がオープンして
 駅前は華やかになり、人通りも多くなると思われる。
     ↓
③小河原さんが築いたベースを維持しつつ、
 若いスタッフを導入して、ネットを使ったPRなど、
 新しい方法で、これまで弱かった部分を補強する。
 店の雰囲気もリニューアルする。
     ↓
④小河原さんには、ベテランの先生というかたちで残ってもらって、
 地元のお年寄りの方々にもこれまで通り来てもらえるようにして、
 若いスタッフにも経験者として接してもらう。

これぞ ウィンウィン。
普通に店を閉めると現状復帰の工事費など多額のお金がかかるのですが、
居抜きで次の店舗に引き継がれるため、小河原さんの負担はなくて済みました。

なにより街としては、小河原さんが残ったのがうれしい。

こうして、ハイトアシュベリーの遺伝子を残した
清水さんのヘアサロン faccio(ファシオ)が誕生しました。

2011年3月1日のことでした。

腰の曲がったオバアさんたちが、
小河原さん目指して、えっちらおっちら入っていく風景は健在です。

長年一人でやっていた小河原さんも
若いスタッフとの共同作業にすぐ慣れた模様。

経営の肩の荷も降り、笑顔が戻った気がします。
携帯を持ってなくても、若いスタッフが、
お客さんにキャンペーンの告知メールを送ってくれます。
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そんなほっとするソフトランディングの実話でしたが、
ここで大切なのが「街の人たちが個人店で話をする」ということだと思います。
なぜ個人店かというと、
チェーン店ではこのような一線を越えたやりとりは生まれないからです。
ぶっちゃけたコミュニケーションがないと、ドラマは生まれない。

今回のケースでいうと、
経堂西通りの夫婦でやってる店EL SOLがなかったら、
小河原さんの悩みや、街の人のハイトアシュベリーへの思いが
清水さんに伝わることはなかったと思います。

個人店は、チェーン店のように
誰にでもスマイルを振りまくわけではありませんが、
実はとっても人間臭い。
自分に合う個人店を見つけてじわりと付き合うと、
それが極上のコミュニケーションの場、コミュニティになるのです。
特に気のおけない店で酒を飲み、
酔っぱらったダメな姿を見せ合っているつながりが、
こうしたプラスを生み出すことがあるというわけです。

足りないものはシェアすればいい。

資本主義社会のルールとは全く違うストーリーが生まれるのが
個人店と言えるかもしれません。

EL SOL の店の様子は、このニュースにも登場します。


廃業する店を人情と長屋の知恵で救い、再生する。
経堂のダメ人間ネットワークの新しいcoworkingのかたちというタイトルを付けましたが、
世田谷の経堂には「ダメ人間」が褒め言葉になる店が多いのです。
(このような街は意外に多いと思います)

いま、さばのゆでやっている
石巻支援も殆どが呑み屋のネットワークで行われています。

飲むとだらしないAさんやBさんが、
いざという時に、ものすごい人脈を持っていたり、トラックを手配できたり、
電話一本で「えっ!」というモノを翌日届けてくれたりする。

これが、いまからの時代の経堂のような街の可能性なのではと思っています。

まだまだいろいろあるのですが、今日はこの辺りで。
小河原さんのいる美容室の情報です。

ヘアサロン faccio(ファシオ)
@世田谷区経堂2-6-5
小田急線経堂駅北口より徒歩3分
2011.3.1Debut!!
電話:03-3706-6573
営業時間:AM9:00~PM7:00
定休日:毎週火曜日・第三水曜日
che faccio ホームページは、こちら!

昨年、写真家・青山裕企さんとのコラボ企画で、
空飛ぶ経堂系ピープル写真!をやった経堂ですが、

小河原さんも飛んでいました。
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まだまだ経堂で飛び続けてくれそうなことが、うれしいです。

と、いま下北沢で始めようとしているcoworkingがテーマの
M4カフェですが、こんな人と人のつながりを作る空間でもあります。

こんな話が好きな方は是非とも遊びにきてください。

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by slowcomedy | 2011-04-07 17:54 | 経堂のような地域の力と可能性。


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